バイブコーディングでWordPressサイトを作る|テーマ開発の実践例

1年前、WordPressのテーマ開発は「PHPが書ける人の仕事」だった。テンプレートファイルを理解し、functions.phpを編集し、CSSでデザインを調整する。この一連の工程に、少なくとも数ヶ月の学習が必要だった。

それが2025年の夏頃から変わり始めた。バイブコーディングでWordPressのテーマやプラグインを作る人が出てきたのだ。結論を先に言えば、基本的なカスタムテーマなら1日で形になる。

僕自身、2025年9月にAI登竜門のサイトリニューアルでこの手法を試した。子テーマの作成から固定ページテンプレートの実装まで、Cursorに任せて約6時間。従来なら3日はかかる作業量だった。

ただし、WordPress特有の落とし穴もある。その境界線を整理してみた。

この記事でわかること
  • バイブコーディングでWordPressテーマを開発する具体的な手順
  • AIにPHPテンプレートを書かせる際のプロンプト設計
  • WordPress開発で使うべきバイブコーディングツール
  • カスタムテーマとプラグイン開発の実践例
  • WordPress × バイブコーディング特有のトラブルと対処法

バイブコーディングでWordPress開発ができる範囲

何でもできるわけではない。バイブコーディングで対応できるWordPress開発の範囲を、まず明確にしておく。

バイブコーディングでは難しいWordPress開発

  • WooCommerceの複雑なカスタマイズ(決済フロー改修など)
  • マルチサイト構成の設計・構築
  • 独自のREST APIエンドポイント開発
  • 大規模プラグインのゼロからの開発

バイブコーディングで十分に対応できるWordPress開発

  • 子テーマの作成とカスタマイズ
  • 固定ページテンプレートの実装
  • 簡易プラグイン(カスタム投稿タイプ追加・ショートコード作成)
  • functions.phpでの機能追加・カスタマイズ
  • CSSの大幅な改修・レスポンシブ対応

要は「既存のWordPressの仕組みの上で動くカスタマイズ」は得意で、「WordPress自体の仕組みを変える」ような開発は苦手という整理。

WordPress開発に最適なバイブコーディングツール

WordPress開発の場合、ツール選びがWeb開発やPython開発とは異なる。PHPファイルの編集が中心になるため、ファイルシステムへのアクセスが必須。

ツール WordPress開発への適性 理由
Cursor ローカルのWordPress環境を直接編集可能。ファイル横断の参照に強い
Claude Code ターミナル操作でWP-CLI連携が可能。自動テストも実行できる
Bolt.new PHPの実行環境がないため、WordPress固有の開発には不向き
GitHub Copilot VS Code上でPHPコードの補完が効く。既存テーマの修正に便利

WordPress開発ではCursor一択と言っていい。ローカル環境のWordPressファイルを直接参照しながらコードを生成できる点が、他のツールにない強みだ。

バイブコーディングでWordPressの子テーマを作る手順

実際に子テーマを作る手順を具体的に示す。僕が2025年9月に行った工程そのものだ。

1 親テーマの選定とローカル環境の準備

親テーマにはLightningを選んだ。ビジネスサイト向けの無料テーマで、日本語対応が充実している。Localでサイトを作成し、Lightningをインストールした状態でCursorを開く。

2 Cursorに子テーマの生成を指示

「Lightning子テーマを作って。style.cssとfunctions.phpを含めて。子テーマ名はai-camp-theme」と指示した。Cursorはwp-content/themes/ディレクトリに子テーマフォルダを自動生成。必要なファイルが揃った状態で出力された。

3 固定ページテンプレートの追加

「LPページ用のテンプレートを作って。ヘッダーとフッターはなし、全幅レイアウト」と指示。page-lp.phpが生成され、WordPressの管理画面からテンプレートとして選択できる状態になった。

4 CSSのカスタマイズ

「ヘッダーの背景色を#1a1a2e、ナビのフォントサイズを15px、ホバー時に下線が出るように」と具体的に指示する。CSSの知識がなくても、「〜の色を〜に」「〜のサイズを〜px」で通じた。

AIにWordPressのPHPを書かせるプロンプトのコツ

WordPress開発に特化したプロンプトの書き方がある。汎用的なコード生成とは異なるポイントが3つ。

1つ目は、WordPressの関数名を指定すること。「投稿一覧を表示」ではなく「WP_Queryを使って投稿一覧を表示」と書く。WordPress固有の関数を明示すると、AIがWordPressの作法に沿ったコードを出力した。

2つ目は、フックの種類を指定すること。WordPressはフック(アクションとフィルター)でカスタマイズする仕組み。「add_actionでwp_enqueueに登録して」のように指定すると、正しい場所にコードが挿入された。

セキュリティに関する注意

AIが生成するWordPressのPHPコードは、セキュリティ対策が不十分な場合がある。特にフォーム処理やデータベースアクセスを含むコードでは、「nonceチェックとサニタイズ処理を必ず含めて」とプロンプトに追加すべきだ。僕はこの指示を入れ忘れてSQLインジェクションの脆弱性があるコードが生成されたことがある。

3つ目は、テーマの階層構造を明示すること。「子テーマのfunctions.phpに追記して」「page-about.phpを子テーマ内に新規作成して」と場所を指定する。指定しないと親テーマのファイルを上書きする指示が出る場合があった。

WordPress × バイブコーディングの実践例

受講者が実際に作った事例を3つ紹介する。

1つ目は、整体院のコーポレートサイト。Lightningの子テーマをベースに、施術メニュー一覧、料金表、予約フォームを実装した。制作期間は2日。プログラミング経験ゼロの方が、Cursorだけで完成させた。

2つ目は、ブログのカスタム投稿タイプ追加。「レビュー」というカスタム投稿タイプを作り、星評価と商品リンクのカスタムフィールドを持たせたもの。functions.phpへの追記だけで実現できた。所要時間は約3時間。

3つ目は、会員限定コンテンツの簡易プラグインだ。ログインユーザーだけが閲覧できるコンテンツ制御のショートコードを作成。20行程度のPHPコードで、Cursorが一発で生成した。

バイブコーディングでのWordPress開発でよくあるトラブル

WordPress特有のトラブルが2つある。

トラブル1:真っ白な画面(WSOD)

PHPのエラーでサイトが真っ白になる現象。バイブコーディングで生成したコードにPHPの構文エラーがあると発生する。wp-config.phpでWP_DEBUGをtrueに設定しておけば、エラー内容が表示される。そのエラーメッセージをAIに渡して修正を依頼するのが最速の対処法。

トラブル2:テーマ更新で変更が消える

親テーマを直接編集してしまい、テーマの更新で変更が上書きされるケース。これを防ぐには必ず子テーマで作業する。Cursorへの最初の指示で「子テーマとして実装して。親テーマは編集しないで」と明記するのが確実だった。

この記事のまとめ
  • バイブコーディングでWordPressの子テーマやプラグインの開発が可能。基本的なテーマなら1日で完成する
  • ツールはCursor一択。ローカル環境のWordPressファイルを直接参照できる強みが大きい
  • 事前準備としてLocal(旧Local by Flywheel)でローカル環境を構築しておく
  • プロンプトではWordPress関数名・フックの種類・テーマの階層構造を明示する
  • セキュリティ対策(nonceチェック・サニタイズ処理)はプロンプトで必ず指示する
  • 親テーマの直接編集は厳禁。必ず子テーマで作業すること

WordPressは世界のWebサイトの約43%で使われている。その開発がバイブコーディングで手軽になれば、影響範囲は大きい。まずはLocalで環境を作り、Cursorで子テーマの生成から試してみてほしい。

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